TENDRE POISON ~優しい毒~
ピンポーン
インターホンが鳴った。
「誰?」
鬼頭が首をちょっとあげると玄関の方を見た。
「いい。どうせまこだろう。ほっとこう」
そう言って鬼頭の顎をちょっと持ち上げると、僕はちょっと強引にキスをした。
正直限界だった。
僕の体は鬼頭を欲している。
彼女のすべすべした肌に触れたがっている。
彼女の甘い声を聞きたがっている。
不思議だね。ちょっと前まではあんなにまこが欲しかったのに。今は何とも思わない。
でも―――
ピンポーン ピンポーン ピンポーン!
インターホンは鳴り止まない。
僕はちょっと不機嫌そうに顔をあげた。
「まこ?」
「出たら?」鬼頭がくすくす笑いながら再び顔をあげた。
僕はしぶしぶ体を起こす。
「先生」
玄関に向かおうとしていた僕の背中に鬼頭が呼びかけた。
彼女はクッションを抱えてソファの上であぐらをかいている。
「青筋浮いてるよ」こめかみの辺りを押さえて鬼頭は笑った。