TENDRE POISON ~優しい毒~
「まこ、お肉入れるの早すぎじゃない?」
「うっせーな、こんなの適当だ、適当」
「水月くんちゃんと食べてる?」
「ちょっと保健医!それあたしのお肉!」
と、何故か賑やかに鍋を囲む四人。
何でこんな展開になったんだろう。
でもまぁ鬼頭が楽しそうで良かった。
ここ最近激しく落ち込んだり考え込んだりとかはなかったけど、やっぱり彼女は彼女なりに考えることもあったろうし。
(まぁ元々あんまり喜怒哀楽がない子で何を考えてるのか分からないところはあったけど)
一通り鍋を食べ終えると、鬼頭とまこは彼が持ってきたテレビゲームを興じていた。
食卓に向かい合って座っているのは僕と千夏さんだけ。
賑やかな声を聞きながら僕は焼酎のロックをゆっくりと飲んでいた。
向かいの席で千夏さんも同じように焼酎を飲んでいる。
意外だった。
結構いける口なのか。
「エマちゃんから聞いたわ……」
千夏さんが焼酎のグラスを両手で包むように持って、僕を見上げた。