TENDRE POISON ~優しい毒~
鈍感……
どういう意味だ、それ……
「もうこんな時間」
僕の疑問を振り払うように、鬼頭は腕時計を見た。
僕も腕時計を見た。
時計は7時を指していた。
いつの間にかこんなに時間が経っていたのだ。
「今日のところは終わりにしよう」
僕は終わった分のプリントを束ねた。
僕と鬼頭は一緒に準備室を出た。
僕は職員室に帰って、少し仕事をしたら帰れる。
でも鬼頭は……。
こんな時間まで引っ張って一人で帰らせるのは可哀想だ。
「鬼頭、少し待ってて。送ってくよ」
気をつけろ―――
またまこの警告の言葉が頭をよぎったが、僕はそれを無視した。