TENDRE POISON ~優しい毒~
「雅、いるんだろ?」
僕が問いかけると、雅が薔薇の生垣から顔を出した。
「バレちゃった?」
可愛らしく舌を出して、両手をポケットに突っ込んでいる。
僕は彼女の変わらない笑顔を見てほっとしたと同時に、全てを悟った。
「君が楠 明良をここにつれてきた?」
「そ。真実を知りたいのは先生だけじゃないから」
それはそうだ。
僕たちはこの件に関わった当事者なのだから。
「君は……楠の気持ちに気づいていた?」
雅はポケットに手を突っ込んだまま、顔だけをちょっと伏せた。
口元に僅かな微笑をたたえている。
「半分はね。でも残り半分は確信がなかった」
そう言って雅はポケットから一枚の写真を取り出した。