TENDRE POISON ~優しい毒~
「水月?」
「行くな。行かないでくれ。僕を置いていかないで」
みっともないな。困らせてるのも分かる。
でも、かっこつけても大切なものは手に入らない。
本当の気持ちを相手にぶつける。
これが僕の愛の形だ。
それがたとえ相手に伝わらなくても、相手を困らせても……
僕はもう迷わない。
愛には様々な形がある。
時に愛は人を狂わせる。
殺意と愛情は紙一重だ。
それを教えてくれたのは楠 乃亜だったり……まこだったり、
雅だったり。
でも忘れないでほしい。
愛があれば、人は優しくなれることを。
「ずっと一緒にいて欲しい。
雅―――」
「み……つき」
雅が僕の背中をぎゅっと握った。
もう決して離さない。
決して。
「行かないよ。
あなたがそう願ってくれるのなら、あたしはずっと
水月の隣に居る。
そう約束した。
あなたの隣に居ると―――」