TENDRE POISON ~優しい毒~
すらすらと公式を述べるあたしに、神代はちょっと面食らったように唇を結んだ。
薄い唇……
でも軽薄そうに見えないのが不思議。
「授業はちゃんと前を向いて聞くこと」
神代はちょっと微笑むと、くるりと背を向けた。
男の人にしては華奢な背中。
淡い色の髪の毛。
同じ色をした瞳。
その全部を手に入れてやる。
そしてあいつが乃亜にしたように、
あたしも手ひどく裏切ってやるんだ。
あたしの中で復讐という名の闘志が湧き上がった。