TENDRE POISON ~優しい毒~


「ごめっ!」神代が慌てて顔を引っ込める。


暗がりでもわかるほど、顔を赤くして。


「何で謝るのよ。したのはあたしだし」


はじめてのキスなのに、あたしは拍子抜けした。




でも……嫌じゃなかった。




ブー

後ろからクラクションを鳴らされた。


「わっ!」


神代は慌てて発進させる。





あたしは自分の唇をそっと指でなぞった。


神代からは爽やかで心地良い柔軟剤の香りと、ほんのかすかにタバコの匂いがした。






忘れなくなりそうな



香りだった。






< 57 / 494 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop