TENDRE POISON ~優しい毒~
「ごめっ!」神代が慌てて顔を引っ込める。
暗がりでもわかるほど、顔を赤くして。
「何で謝るのよ。したのはあたしだし」
はじめてのキスなのに、あたしは拍子抜けした。
でも……嫌じゃなかった。
ブー
後ろからクラクションを鳴らされた。
「わっ!」
神代は慌てて発進させる。
あたしは自分の唇をそっと指でなぞった。
神代からは爽やかで心地良い柔軟剤の香りと、ほんのかすかにタバコの匂いがした。
忘れなくなりそうな
香りだった。