TENDRE POISON ~優しい毒~
「適当にくつろいでよ」
リビングに通すと、まこはジャケットを脱いでソファに放り投げた。
言われなくてもしっかりくつろいでるようだ。
「へぇ、きれいに片付いてるな。俺の部屋と違うな」
まこはきょろきょろと辺りを見渡してる。
まこを部屋にあげるのは初めてじゃないけど、泊めるのは今夜が初めてだ。
片付けておいて良かった。
僕は高鳴る心臓の音がまこに聞こえやしないかと不安だった。
「水月」
唐突に名前を呼ばれて僕は顔をあげた。
すぐ近くにまこの顔がある。
ドキリとした。
「水月、鬼頭といたな」
え―――……?
「タンドゥルプアゾンの香りがする」