TENDRE POISON ~優しい毒~
まこの言葉にどきりとした。
何か……
僕は唇を押さえた。
「……何でそんな顔するんだよ……やっぱり何かあったんだな!」
まこは僕の腕をぐいと引っ張った。
勢いで、僕がソファに倒れこむ。
ソファの下でゆずがワンと一声吠えた。
まこは僕の上に乗っかかってきた。
僕の心臓がドクンと大きく波打って、そのあとも大きくなり続けた。
音のない部屋で僕の鼓動だけがやけに大きく聞こえた。
「何もないって!どいてよ」
これ以上このままだとどうにかなりそうだ。
僕はまこの肩を押しのけて起き上がろうとした。
が、まこはいとも簡単に僕をソファに押し戻す。
同じ男なのに、どうしてこんなに力が違うんだろう……
まこは僕の顎を片手で掴んで、自分の方を向かせた。
「嘘ばっかり。お前は鬼頭と何かあったね。
それで、鬼頭に心を奪われ始めてる」