TENDRE POISON ~優しい毒~
そんなことない。
僕が好きなのは、ずっと目の前にいるまこなんだから……
でもこの気持ちは伝えられない。
言ってしまったら終わりだ。
そんな僕の苦悩を知らないまこが、今は疎ましい。
「僕の上からどいて!」
僕はありったけの力を使って、まこを押しのけた。
もう限界だった。
震える肩を両腕で抱える。
ゆずが僕の足元をうろうろしてる。
大声出したからきっと心配してるんだ。
「鬼頭とはただの生徒と教師の関係だ。それ以上でもそれ以下でもない」
僕はゆずを抱き上げて弱々しく言った。
でもさっきのキスが忘れらない。
ただの生徒と教師がキスなんてしない。
そんなこと分かりきっていたのに、僕は否定するしかできなかった。