TENDRE POISON ~優しい毒~
タイミングが良いのか悪いのか、神代がこっちに向かって歩いてくる。
周りには女子生徒がいっぱいくっついていた。
「先生~、お昼はいつもどこで食べてるの?」
「あたしと一緒に食べようよ♪」
なんて言われてる。
何故だか無性に苛々した。
「何でって成り行きだよ」あたしは梶の目をじっと見据えて言い放った。
「梶は何か勘違いしてる。あたしと神代とは何にもないんだから。
ただの生徒と教師。それ以下でそれ以上でもない」
ちょうど神代が通りかかるところだった。
すれ違う瞬間、神代は何故かひどく傷ついたような顔をしていた。
なんで……
何でそんな顔するんだよ―――