TENDRE POISON ~優しい毒~
あたしの心に芽生えた一つの疑問。
あたしはその疑問を振り払うように、そしてあの保健医から逃げるように、保健室を飛び出た。
保健室を出たら安心したのか、急に涙がこみ上げてきた。
怖かった……
どうしようもなく……
「鬼頭?」
涙をこらえていると、背後から声がした。
あたしが振り返ると、
梶が突っ立っていた。
「梶……」
「おまっ!どうしたんだよ!」
梶はあたしの顔を覗き込んで大声をあげた。
「なに?あたしどうもしてないよ」
強がりでを言って何とか顔を上げる。
「どうもしてないわけないだろ。
お前、泣きそうな顔してる」