TENDRE POISON ~優しい毒~
ディスプレイを見てあたしは戸惑った。
さっき泣いたことが急に恥ずかしく思う。
梶は何も聞かずに帰るまであたしの傍にいてくれた。
お礼……いわなきゃね……
「―――はい」
『鬼頭?俺、梶』
「知ってるって(笑)何だった?」
あたしはなるべく平静を装った。まだ引きずってるって思われたくない。
『いや、お前……大丈夫かなって思って』
何て言えば分からないけど、と続きそうな予感がした。
それぐらい不器用な物言いだった。
「大丈夫だよ。さっきは泣いたりしてごめんね」
『……ううん。泣きたいときは泣けよ。すっきりするぜ。
俺さ、勘違いしてたけど、お前は強い女だと思ってた』
梶の言葉にあたしは目を伏せる。
「幻滅した?」
『いや。反対。
俺、お前のこともっと知りたいかも……
知って、お前が泣かなくていいように強い人間になりたい』