TENDRE POISON ~優しい毒~
強い人間に……
「梶は優しいよ」
『いやね、雅ちん。俺、強い人間になりたいって言ったのよ。聞いてた?』
梶がわざとチャらけて笑ったが、だけど電話の向こうでは慌てている。
「聞いてるよ。あたしは人に優しくできる人間が一番強いんだと思う」
あたしは弱いから……
だから、傷つけることしか考えてない。
こんなのホントはいやなのに……
『あのさっ!何に悩んでるのか分かんねーけど、俺はお前の味方だからなっ!』
梶……
『って何言ってんだ俺……わりー』
「何謝ってるの梶」あたしは笑った。
電話の向こうで梶がへへっと照れ笑いの声を漏らした。
「ありがと、梶。
あんたのおかげで元気でた」
梶がいてくれて、ホントに良かった―――