TENDRE POISON ~優しい毒~
◆午後11時の電話◆
◆◆◆◆◆◆◆◆
約束の放課後になっても、鬼頭は現れなかった。
今まで鬼頭はなんだかんだいいつつも、僕との約束を破ったことはない。
約束を破るなんて初めてだ。
急用が入ったのかな?
いや、それにしても一言言って欲しかったのに。
『ただの生徒と教師。それ以下でそれ以上でもない』
ふいに鬼頭の放った言葉が甦る。
まこは勘ぐり過ぎだ……
僕たちの間には何もないのに……
じゃあ何でキスした?
彼女の気紛れかもしれない……
気紛れでキスなんてするなよ。
でも……
先生ノコトガ好キナノ
あの言葉が蘇る。
僕は心が動かされ始めてる。
拒絶されてると思いきや、いきなり近くまで入って来る。
そしてまた拒絶。
鬼頭のことが分からないよ。