TENDRE POISON ~優しい毒~
結局一時間待っても二時間待っても、鬼頭は現れなかったので作業は僕一人がやることになった。
プリントを束ねながら―――
何だかうまくいかないな……
鬼頭は現れないし、まことも喧嘩みたいになってるし。
ふぅ……ため息が出る。
『先生、こっちはできたよ。
先生ってのろいね。貸して。あたし手伝う』
昨日の会話を思い出す。
そう言えば、今日はタンドゥルプアゾンの香りがない。
それが何だか寂しい……