TENDRE POISON ~優しい毒~
着信:まこ
「なんだ……」
言ってから、はっとなった。
まこからの電話を嬉しいはずなのに。
それに何となく喧嘩して以来の電話だから尚更だ。
「……もしもし?」
『よぉ。何してた?』
まるで恋人同士のような会話だ。
僕は思わず苦笑した。
「ゆず相手にビール飲んでた。まこは?」
『寂しいやつだな。俺は今彼女といる』
ズキン。
ひどく胸が締め付けられる思いだ。
「そう。じゃあ悪いから切るね」
これ以上まこののろけを聞きたくない。無理やり切ろうとしたとき、
『―――待て待て』と受話口から焦るような声が聞こえた。
僕はもう一度ケータイを耳に当てる。
『お前三日後の夜暇?』