TENDRE POISON ~優しい毒~
僕は俯いた。
その言葉が心に響く。
「あ~!俺が悪かった。そんなに落ち込むなよ」
別に落ち込んでるわけじゃない……
ただちょっと、考えてただけだ。
「楠 乃亜の自殺未遂はお前のせいじゃない。
お前はずっと相談に乗ってたんだろ?」
まこは唐突に言い出した。
本当に……唐突に……
それは僕がずっと抱えてる悩みでもあり、謎でもあった。
彼女は何故自殺なんてしたのか。
「そうだけど……
結果的に僕は彼女を救えなかった」
「死にたい奴はどうあっても死ぬさ。
お前が救えるんなら楠はとっくに救われてた」
まこは冷たくそういい切る。
でも……
本当にそうだろうか?
「ほれ、今月分の薬」
そう言って薬の紙袋を手渡される。
「……いつもありがとう」
楠が自殺を図ってから僕は眠れなくなった。
食事も喉を通らなくて、一時は一か月で5キロも痩せた。
まこが大学病院で貰ってくれる睡眠薬がなければ、今でも眠れない。
眠ったままの楠が早く目を覚ませばいいな、と願わない日はない。