TENDRE POISON ~優しい毒~
『……』
電話の向こうが一瞬沈黙した。
「あ、ごめっ!!いや、変な意味じゃなくて……」
と言いかけたところで、鬼頭の声が被さった。
『まじで?会いたい』
鬼頭はそう言ってくれたが、一人暮らしの教師の家に連れ込むわけにはいかない。
「じゃあ今度ね」と僕は曖昧に濁した。
『大人の言うまた今度って信用ならない』
鬼頭の鋭い声が返ってきた。
僕はぐっとつまる。
なんて返したらいいのやら……
『じゃあ、三日後なんてどう?』
え?三日後って……
「いや、その日はちょっと……」
『何か予定でもあるの?』
「うん。ちょっと飲み会が……」
嘘ではない。でもどうしてこんなに後ろめたい気持ちになるのだろう。
『じゃあ明後日』
僕はほっとした。
「明後日なら……」
僕は返事を返した。