TENDRE POISON ~優しい毒~
「保健医がどうした?」
明良兄の鋭い視線が刺さる。
「どうしたって、ちょっと忠告されただけ」
言おうかどうか迷ったけど、結局あたしは保健医とのいきさつを明良兄に話した。
「な!何なんだそいつ!!」
明良兄は顔を真っ赤にして怒鳴り声を上げた。
「ぶっ殺してやる!!」
手のひらに拳を打ち付ける。
「やめてよね。今あいつがボコられたら、あたしに疑いがかけられるじゃん。
そしたら計画もオジャンだよ」
それにあいつが大人しくやられるタマじゃない。
あいつ―――色んな意味で強そうだし。
あたしは明良兄を睨んだ。
そう、あいつに何かあったら、あいつはそれこそここぞとばかり神代に忠告するだろう。
“鬼頭 雅に近づくな”
もしかしたら、もう言ってるのかもしれない。
「でも、このままでいいのかよ」
明良兄は眉を寄せて、ソファに座ったあたしの隣に座ってきた。
「いいわけないじゃん。あいつがいると計画が進まない」
どうするべきか……