TENDRE POISON ~優しい毒~


「あいつの家族構成ってどうなってるのかな?」


あたしは独り言を呟いた。


「一人暮らしって言ってたジャン。家族はどっか遠くじゃねぇの」


「彼女もいないって言ってた。確かめてみたけど、それは事実みたい」


「つまんねぇ大人だな」


明良兄が頭を掻いた。そしてその手を止めると、





「好きな奴とかは?」



と言った。



あたしは肩をすくめた。


「そんなところまで知らない……」


でも……



「でも調べる価値はありそうだね」



あたしは笑いながら、再び親指の爪を噛んだ。





あいつの好きな女。


そいつをだしにすれば。





自分のせいで、大切な者が傷つく。




それって最高の復讐じゃない?








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