TENDRE POISON ~優しい毒~



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―――


次の日の帰りのホームルームが終わると同時にあたしは教室を飛び出した。


早めに準備室に行って色々さぐりを入れるためだ。


案の定、準備室には誰もいなかった。




6畳ほどの小さな部屋。


ステンレス製のラックにはたくさんの本が詰まっていて、部屋の中央には机と二対の椅子があるだけ。


きれいに片付いていた。





机の上に黒いノートパソコンが開けてある。


あたしはノートパソコンを覗き込んだ。


デスクトップは紅葉の街角を写した風景だった。


あたしはフンと鼻を鳴らした。


「色気がないの」





メールをチェックしたけど、やっぱりパソコンのメールだと目ぼしいものはない。


殆どはネットでの通販宣伝メールだった。



インターネットのお気に入りの欄を見たけど、ここも空っぽ。




「そんな簡単に見つかるわけないか」


ため息を吐いて、あたしは“マイピクチャ”の欄をクリックした。


ここにもどうせ何も入ってないだろう、と思ったけど念のため。




クリックすると写真がたった三枚収められていた。







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