獅子が招いてくれた恋
3人とも頭の上にクエスチョンマークを浮かべたまま、この日の夕方は終わった。
気付いたら8時ちょっと前。
いつもはついてない電灯が今日はついてたせいか、あまり時間を感じなかった。
走って、体操して、遊んで、ストレッチして、走って、 遊んで…
最終的に側転やらバック転やらで盛り上がった。
『おい高校生、帰り乗せてこうか?俺の愛車に』
「いんや、大丈夫ですよ?あたしも愛車なんで」
はるかは朝礼台の上に置いてあったらしい荷物をあさって、着替えを始めた。
上着を脱いでワイシャツとセーターを着て、スカートを履いてズボンを脱いで、リボンをしてブレザーを羽織るだけの着替え。
「うわ、本当に女子高生だ…」
『つーかお前、学校帰りなの?』
最後にローファーに履き替えて、さっきまで履いてた靴をシューズケースへしまった。
「そうですよー。あ、河野さん!」
駐車場へ向かう途中、はるかは河野さんに駆け寄った。
「来週からは水曜日だけ来ますね」と言ってるのが丸聞こえだった。
シューズケースをイスに放り込んみ、流行のアウ〇ドアの斜め掛けバッグを肩から下げて愛車に跨ったはるか。
メットだってちゃんとしてる。
『おい女子高生、なぜ出発しない?』
「いや、先輩方をお見送りしようかと思いましてー」
見送りとか冗談じゃない。
こんな暗くなってんのにJKひとり置いてけっかての。
『うるせー調子こくな!さっさとけぇれ!!』
俺が一喝すると「お先でーす」なんて言って帰ってった。