獅子が招いてくれた恋
 
翌朝、あたしは前髪を結って小さなヘアクリップで留めた。




6月頃に長かった髪をばっさりと肩の辺りまで切って、ボブもどきにした。

それからはこの前髪で過ごす事ほとんど。




『お母さーん、仕込み何時からだっけー?』

あたしは洗濯物を干しているお母さんに声をかけた。




「8時半に杉本さんち。あれ、あんた今日それ?」

お母さんはあたしの着ていた緑のタンクトップとプーマのハーフパンツをさり気なく顎で指した。


「浴衣かダボにすればかっこいいのに…」




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