獅子が招いてくれた恋
毎年、神社を出たお神輿はまずこの組へ立ち寄っていく。
その時に振る舞う料理を組の女の人たちが作る。
年毎に立ち寄る家は違って、全ての家に幸せが舞い込むようにと庭先でお神輿を練り、家の中で獅子を舞わせる。
あたしは今年、組での仕込みを終えてからおっちゃんだらけのお神楽に合流する予定。
浴衣なんて動きづらい。
ダボは動きやすいしかっこいいかもしれないけど、パンツが透けるから嫌。
いとこのお兄ちゃんが着古した緑のタンクトップ、プーマの水色ラインのハーフパンツ、それに青い法被を羽織るのが無難だと思った。
人手不足の女御輿を手伝う約束を妹のかえでとしたし、喪中だからあまり目立ちたくないと思った。
それに、お祭りが好きだったじいちゃんにお神楽だけ頑張るんじゃなくて、お神輿の方も影から支えて盛り上げるところを見せたいと思った。
中途半端な気持ちだらけで参加する今年のお祭りはあまり気分が乗らなかった。