獅子が招いてくれた恋
「はるちゃーん、これお願い」
『はい!』
あたしはお神楽のおっちゃんたちと一緒に笛を吹いた後、「一緒に食べよう」というのを上手くかわしておばさんたちを手伝った。
「落ち着いてきたからはるちゃんも食べなよ」
『あ、ありがとうございます』
唐揚げを片頬に詰めて、フランクフルトを受け取った。
「おねーちゃん、その棒のウインナーどこで貰える?」
ガードレールに寄りかかって口の中で唐揚げをもごもごさせてたら小さい男の子が物欲しそうに近寄ってきた。
『これ?あげよっか?』
「うん!食べたーい」
歯ごたえ抜群の唐揚げより、あのフランクフルトのがよかったかな…
「すみません、ちょっとお話いいですか?」
やっとこ唐揚げを飲み込んだ頃に市の放送局のお姉さんが話しかけてきた。
後ろにはカメラを肩に置いてスタンバってるお兄さんもいる。
苦手なんだよなあ、こういうの。
『はい、全然大丈夫です!』
そう言ってから歯茎に散らかった唐揚げを片付けた。