獅子が招いてくれた恋
 
それにしても暑い…。

もう正午を過ぎてしまった。




前半は御輿の方へ入り浸りだったけど、ここからはお神楽メインでいかないと。




「おねーちゃーん、獅子舞いの笛吹いてよ〜」

小学生が何人か寄ってきた。


『えー、どうしよっかなあ』

少しからかってみる。




「普通のやつ吹いて!」

「何言ってんだよ!剣のやつに決まってんじゃん」

「オレ、剣のやつなら踊れるよ!」

男の子が両手に割り箸を持って踊りだした。


「おぉ、そりゃあすごい。おじさんたちに見せてよ」

「はるか、テキトーに吹いてやれ」

『あはは、はーい』


お神楽のおっちゃんたち(先輩方)に言われたら吹いてやるしかない。




あたしが笛を吹き始めると、男の子は夢中になって踊った。

足の運び、首のひねり、完璧とは言えないけどなかなかのものだ。




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