獅子が招いてくれた恋
なんか、さっきと違って担ぎやすい気がする。
足元に余裕が出来たというか…
あ、さっきより担ぎ手が少なくなってる。
だから圧迫感がないのか。
それに隣にはさとしが居るから心強い。
だがしかし、居心地が悪い。
下り坂だから御輿の前を上げて平行にしないといけない。
それには中学生たちより身長の高い俺とさとしが前の方を担ぐ必要がある。
だけどなかなか言葉に出せない。
ペチペチペチペチ…
来た。前方から俺の舎弟。
どこで仕入れたのか、纏みたいなでかいうちわを担いでいる。
「ちょっと〜!前のお嬢ちゃんちは大変っしょ?下り坂なんだからチビは後ろ!デカいのは前!」
はるかが中学生に指示を出し始めた。
妹のかえでちゃん?とリーダーのさきちゃん?に主に声をかけて身長を調整していく。
「あ、さとちゃーん!久しぶり、心強いよ!まこちゃんと一緒に前の子たちと代わって」
俺とさとしをそこからどかすと、待機していた子たちを素早く入れさせた。
「完璧。今までになく平行!」
はるかは「さあさあみなさん元気な声で」と、わっしょいを煽りながら、でっかいうちわで少し扇ぐと、すぐにどっかへ消えた。