獅子が招いてくれた恋
『ちゅーかあの小娘はどこ行ったよ?』
次は神社まで行くんだ。
そう、最終目的地。
『あの石段!あの低い鳥居!俺たちだけじゃ中学生どもをリードしきれねえ!だろ?さとし』
「はい…、自分のことで精一杯ですね」
軽く打ち合わせをしたいのにはるかが居ない。
「あ〜〜、俺の予想だとこの後はるかは担ぎませんよ」
はっ?
担がない?
訳が分からない…
はるかが担がない!?
「はるかのメインはお神楽で、御輿はあくまでも助っ人だから…。ほら!」
さとしの視線の先ではブルーシートの上で獅子が何時もどおりに舞っていた。
『俺っちも見とくか…』
さとしを連れて近くまで行った。
もちろん獅子舞いも見るけど、2人ともはるかを見る方が多かったと思う。
去年から始めたらしい笛。
まだモノにしていないらしく、時々おっちゃんたちの手元を見ながら吹いたり、時々ごまかしたり、時々さぼったり…