獅子が招いてくれた恋
 
出会いは13〜4年前。
はるかが小学生になる前だ。

同級生たちと藤宮中を遊び歩いていた時期がある。
今日はこっち、明日はあっち。
いろんなところで何度も遊んだ。

今考えると、何が面白かったのか全く分からない。




ある日、1人の友達が俺たちに何の相談もなく

「すいませーん!いつもそこで何してるんですか!?」

とある家の庭を覗き込んで、失礼な一言をそこのおじいさんに浴びせた。




おじいさんは無言で手招きをして、俺たちを庭へ入れてくれた。

「竹はな、トゲが刺さると厄介だから気を付けてな」

俺たちは細く刻まれた竹でカゴやザルが編まれて行くのが不思議でたまらなかった。

一緒に竹とんぼを作って飛ばしたこともあったし、竹馬が人数分用意されていたこともあった。



俺たちは何度も“見学”に通った。




はるかが入学してきて、じいちゃんちの孫だと知った辺りからかな?
じいちゃんちを訪ねなくなったのは。




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