獅子が招いてくれた恋
「はぁ〜?何それ、初耳なんだけど…」
『だろうな…』
「だろうなじゃないよ、まったく!」
はるかがどうして怒っているかは分からない。
だけど俺はじいちゃんが亡くなったことを知って、とにかくショックだった。
『お線香、あげさしてくんない?』
「いーよ、行こっ」
軽い反応が意外でびっくりした。
しかも今からって…
神社から見てじいちゃんは東。
俺たちの組は西。
正反対で帰るのには遠回りだけど、小さい地域だから遠いだとか、近いだとか、そういう感覚が少し麻痺する。
今日1日、こいつが居なかったら俺、とっくに帰ってたかもな…
獅子舞いも見に行かなかっただろうし。
そう言えば何だか分かんないけど、獅子に肩を噛まれた。
子供が頭を噛まれるといい子になるってのは聞いたことあるけど、若造が肩を噛まれるとどうなるんだろう?
それか、ただのおふざけか?
理由はどうであれ、意外と痛かった。
〈まことside、この小娘が〉