獅子が招いてくれた恋
 
ばあちゃんとも仲良くしてたんだね。まこちゃんは。

線香を立てて合掌…。


じいちゃんが死んでまだ半年も経ってない。

こうして手を合わせると、涙ぐむことが未だにある。


ふと居間を覗くと、まこちゃんはご飯を食べさせられてる。

ばあちゃんにはちゃんと説明したはずなのに…


なぜに仏間でなく居間へ通す!?




『おい若造!己の目的は飯か?線香か?』

と言ってまこちゃんを仏壇の前へ行かせた。

そしてばあちゃんにまこちゃんのことを聞いた。


「おじいさんもね、おばあさんもね、ずっと待ってたんだよ…」

まこちゃんたちはこの家の庭に毎日の様に来ていたらしい。




そう言えばボケ切ったじいちゃんが病院のデイルームで

「男の子たちがね、私の竹細工を見に来るんですよ。」

なんてあたしに向かって話してた。

そん時じいちゃんはあたしを誰だと思って話してたんだろう。




孫の顔は分からないのに、まこちゃんたちのことは覚えていた。

これじゃあ、まこちゃんに嫉妬しちゃいそうだ。




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