獅子が招いてくれた恋
「ハルカ!お前また髪切ったのか!?」
元カレのユウヤ。
お互い自然に振る舞ってるつもりだけど、なんだか不自然。
『うん、昨日切った。ユウヤは相変わらずだな〜』
先月までユウヤは高校球児だった。
夏休み前はツルツルだった頭に少し毛が生えて、普通の坊主になっただけ。
「これから伸ばすんだよ!」
ユウヤのロン毛…
正直なところ、想像したくない。
「ハルカは感想文終わった?」
『うん、教習の空き時間に書き切った』
ユウヤとはなんとな〜く、よく話す。
最近だけどね。
このまま戻れないかな、なんて都合のいいことをたま〜に、考えてしまう。
「んで、免許取れたの?」
聞かれて指を折って数えた。
『3日前にマニュアル、取得致しました〜!!』
あたし、頑張った。
夏休みは教習受けて、バイトして、学校来て進路のことやって、夜はお神楽の稽古行って…
バイトしながら夏休み中にフィニッシュは奇跡って、教官たちからも褒められた。
卒検には1回落ちたんだけど…
ユウヤは自分のことの様に喜んでる。
「免許証、見せて!」
『はいよ、』
「うあ〜、なんで髪切っちゃったの?俺ボブのが好きだったのにな…」
ボブもどきをさらに切ったのは面接に向けて。
他に大した理由はない。
あとは成人式に向けて伸ばすつもり。
「すいませんお二人さーん、いちゃいちゃするならヨリ戻してからにして下さーい」
「そうでーす。疑っちゃいまーす」
こういうのはよく言われる。
気を遣ってくれてるかは分からないけど、正直嬉しい。