獅子が招いてくれた恋
「これから、第1回“冬期球技大会に向けての”練習を始めまーす」
今、体育館のアリーナで小さな開会式が執り行われている。
体育館へ向かう途中、同じクラスの男子を二人捕まえた。
一人はユウヤ。
もう一人はユウヤと同じ野球部の、バレーがちょっと苦手なマサヒロ。
「始めの言葉を、マサ!」
司会役はユウヤ。
「えー、本日は私のためにこのような練習会を開いていただき…」
「誰がお前のためだ!」
『「そーだそーだ!」』
軽〜く、楽しく、ブーイング。
「そんじゃ、体操。ハルカ!」
『ほーい』
あたしは屈伸とかアキレス腱伸ばし、思い当たる限りの体操の音頭をとった。
「んじゃ円陣。アサミ!」
「あいよッ!」
4人で肩を組んで、アサミの「目指せっ、電気科男女共に三連覇〜!」の声に続いて、3人で「おーっ!」って声を張った。
「きゃぁッ」
アリーナのドアの向こうで黄色寄りの、可愛い声が聞こえた。
「猿じゃね?」
ボケるユウヤ。
「んなワケあるか!捕ってこい!」
突っ込むアサミ。
シィンとなったアリーナ。
ドアからそろりそろりと出てきた2つの顔は、両方共あたしの知ってる顔。