獅子が招いてくれた恋
 
あたしは思わず“おいで”って手招きをしたんだ。

2人は恥ずかしそうに「すみません」って言って、

「佐野(さの)です」
「山浦(やまうら)です」

って自己紹介。


「ハルカ、知り合い?」


恥ずかしながら、あたしもこの時、初めて名前を知った。

『そう!バスケ部のマネージャー』


「へー、可愛いね。クラスは?」

アサミが近寄った。


「2人ともE1です」


E1っていうのは、Eが電気を英語の“Electronics(エレクトロニクス)”にした時の頭文字で、1が1年生の意味。


佐野ちゃんと山浦ちゃんはE1、電気科1年。

あたしたちはE3、電気科3年。


「そうなんだ、俺っちと一緒じゃん!」

「ねえ!お兄さんたちと遊ばない?バレーで」

わざとらしくニヤニヤしながらマサヒロが近付いていった。


『マサ!ヤラシイ顔を演じようとするその心がヤラシイ!!』

「へーい」




佐野ちゃんと山浦ちゃん、だっけ?
少しもじもじしてる。


『どした?予定ある?ジャージない?球技大会の種目、バレーじゃなくてテニス?』

あたしは巻き込む気満々。


「お前!無理矢理でも誘う?嫌なせんぱ〜い」

マサが少し調子付いてきた。
後でしばかないと。




「あの〜」

山浦ちゃんがもじもじしながら言った。

「今からバレーするんですか?」


「よかったらまぜてくれませんか?」

佐野ちゃんも言った。




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