獅子が招いてくれた恋
 
「ハルカ先輩っ、マッサージ教えて下さい!」

なーんて可愛い1年生2人に言われたのもあって、ユウヤをダミー人形にしての講習会を開いた。


『男の人はねー、やりずらいんだよー…。筋肉の付き方とかさ…』

ぶつぶつ言いながら(教えながら)、アサミにしたのと同じようにユウヤの身体を解した。




ほんと、やりずらい…。


女の子より筋肉のある足は、刺激を加え過ぎたら筋を痛めるんじゃないか?って。

お尻や肩なんかは「痛い!」ってまたにうるさいし。




「筋肉は少なくても、凝りは女の人のが多いからね…」

まったく。アサミの言う通り。


ここ最近肩が凝っているみたいで、みんなで肩揉み大会をする。

凝ってる自覚がなくても気持ちと思うのは、凝ってる証拠なのかな?


こうして、知らず知らずのうちに肩凝りとか、冷えとか、女の人は色んな厄介と付き合っていくんだろう。




それにしても、あたしって何なんだろう。

いくらクラスメートでも、元彼の身体を揉み解す女子高生は居ないだろう。

物凄く複雑だ。


ユウヤはどんな心境でいるんだろ…。




「鳴らして」

ユウヤの小さな声。


「腰、鳴らして」

『あぁ、はいよ』

仰向けになったユウヤの片足を曲げて、反対側へ倒す。
肩と骨盤の辺りに手を添えて、優しくグイッと押した。


バキッ―――


ユウヤの腰の辺りから痛いような、気持ち良いような音がする。

素人がこんなことをしていいのか、時々不安になる。

でもあたしはこれの気持ち良さを知っている。




< 91 / 106 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop