獅子が招いてくれた恋
 
うまい…

某有名牛丼店でどんぶりの中身をガツガツかき込む俺。
セットにした漬物と味噌汁もバランスよく胃にしまう。


「太田くん、アイスクリームはどう?」

『はいっ、お風呂上がりにいただきます!』


河野さんは眺めていたキッズ用メニューをスタンドに戻して苦笑い。

飯、風呂、アイス。
もちろん全て河野さんのおごり。

遠慮なんてしない。
「好きなもん食べな」「遠慮しないで」って言ってくれる先輩に対しての遠慮は失礼にあたる。



『河野さん、今日のお湯は何ですかね?』

俺たち行きつけの日帰り温泉は毎週お湯の色が違う。


「んー…、先週はなんだったっけか?」

『うんこ色でした』

「ウーロン茶かぁ…。ウーロン茶の次は…」


河野さんは飲食店での俺の下品な発言にツッコミを入れてくれなかった。


「あっ、わかったよ太田くん!今週はグラマーな色だよ!!」

『あぁ、ラベンダーですか!』

「そうそう、ラベンダー!」

何が面白いのか、河野さんはすごく嬉しそうだ。




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