獅子が招いてくれた恋
 
何だかんだで月曜日。
3人で走る日が来た。


「太田くん、この後6時にグランドね」

『了解です、お疲れさまでーす。』


愛車に乗り込んで、ナビの液晶に写った時刻は17時20分ちょうど。

家に着いて5時40分。
支度して5時45分。

グランドは藤宮がある町の隣町の端っこ。ちなみに藤宮も隣町側の町の端っこ。
家からグランドまでは5分かからないから、途中で自販機に寄ってジュースを買う時間もある。


なんだか緊張してきた。
意外とびびりなマインドの持ち主の俺。

既に到着している河野さんの横に駐車した。


「太田くん遅ーい!」

『はいぃ!?』


いやいや、俺が会社出る時、河野さんは休憩所で缶コーヒー飲んでたし!
どうして俺より早く到着してるんだよ?

「実は1分前に着いたばかりなんだー」なんて言うのがお決まりなんだけどな。




『で、河野さん。例の彼はどこですか?』

「あぁ、たぶんほら。今あっちの方を走ってる」


河野さんの指差す方を見た。
走ってる…ってよりは回ってる?

トラックじゃなくて、フィールドの芝の部分で何かしている。


「あっれ!?彼すごいなあ!超回ってるじゃん…」


グランドに入って、彼の居る所に近付けば近付くほど回ってるのが分かる。
側転したり、連続でハンドスプリングしたり…




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