僕の死に方
プロローグ
　堂島慎也、十六歳。高校二年の春頃。
　僕は今、どうにかして死のうと思っている。
　別に、誰かに苛められているというわけじゃない。
　生きるのが辛い、というわけでもない。何でも手に入るほど満たされているわけでもないけど、生活に不自由しているわけではない。

　ただ単純に、死にたいのだ。

　例えば夢だとか希望だとか、生の延長上にある目標が、僕には無い。
　自分の未来を想像するのは、案外容易い。
　平凡な人生。たまに怒ったり笑ったりするだけの日常が、延々と繰り返されていく。
　日が昇って落ちて、また昇って落ちていくような、緩やかに刻まれる毎日。
　中間テストや期末試験でいい点を取ることのように、無意味な日々だ。
　それに耐えるくらいなら、と、僕は死を望むことにした。

　自分でも呆れるほどに、脆弱で直情的で、なにより俗な理由だと思う。
　だけど今の僕にとっては、それが全てだ。

　さぁ、僕の理想の死に方を探してみようか。
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表紙・目次

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