僕の死に方
「藤見くぅ~ん。ちょっと、顔貸してくれよ」
 藤見正信を苛めていたグループのリーダー格が、彼を教室外に連れ出す。
 事情を知っている生徒達も、それを止めようとしない。誰もが傍観者だった。
 ただ、僕を除いて。
「堂島? どこ行くんだ?」
 立ち上がった僕に、友人の一人が怪訝な面持ちで尋ねてくる。
「決まってるだろ?」
「……え、まさか、藤見か? やめとけって、そこまでしてどうすんだよ」
「黙って見てるなんて、出来ないよ」
 偽善者も、最後まで演じきる。
「それじゃ、いってくるよ」
 僕が死ぬために、だけど。
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