楓クンのHappy*Xmas☆*:・゚
「あれ、王子じゃない?」
「えっ! どこどこ!?」
乳製品売り場を見ていると、背後からそんな声が聞こえてきた。
……面倒くせぇ。
きっと今、後ろにいるのは俺の学校の女だ。
キャーキャーと、騒ぐ声が嫌でも耳に入る。
「あのぉ……」
そのまま知らん振りしていると、1人の女が控えめに声をかけてきた。
俺は黙って、後ろを振り返る。
そこにいたのは、同じ学年の女だった。
「あっー! やっぱり楓王子だぁ! こんなところでなにしてるんですかぁ?」
白いコートを来た女が、語尾を伸ばして馴れ馴れしく俺に話しかけてくる。
「買い物」
俺は素っ気なく言い放って、また乳製品売り場に目をやった。
「いやぁん! 冷たい王子も素敵ぃ!」
……この女はバカか。
なにが“素敵ぃ”だ。
早くここから立ち去れ。
「楓王子ぃ!あたし達、暇なんですぅ。これから一緒に遊びません?」
すると、さっきとは違うもう1人の女が俺の顔を覗き込んだ。