約束の日
1611号室
二組の男女が

それぞれの時間を過ごす

午後9時過ぎ

それぞれの部屋のちょうど中間に位置する

1611号室で

ある男が

携帯電話をいじっていた。



「警察官の気配には、まったく気が付かなかった…と。

ふう…やっと完成だ。」


男はそっと微笑むと

「完結」ボタンを押し

携帯電話を閉じた。


その時、携帯電話が着信を知らせた。

「…もしもし?」

震える男の声。

「もしもしじゃないわよ!いつまで待たせるのよ!」

「ごめん!すぐ支度して行くから!」

「え!?まだ家出てないの!?…信じられない」

電話の向こうから失望したような女の声が聞こえる。


「それは…色々あって…」

「言い訳なんか聞きたくないわよ!

大体、今日はデートだからって

夜9時に待ち合わせしようって言ったのあなたでしょ!





約束も守れない男って最っ低!」















END
< 38 / 39 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop