約束の日
女の不安は募るばかり。

「約束」の時間まで1時間。

「あの男」からの着信は、一向に来ない。

「何やってるのかしら…連絡するって言ってたのに…」

女はとにかく心配性だ。

出かける時に戸締まり、火の元を十分確認しても、マンションを出たところで不安になり、引き返す。

それらはほぼ全て、無駄な心配に終わる。

だからこそ女は

「約束」の時間が近づいても連絡を寄越さない男に

「疑い」ではなく「不安」を抱いていた。

時間が流れる。

吸い殻の山が更に高くなる。

「…よし。」

女は意を決して携帯電話を手に取り、「あの男」の番号を呼び出した…
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