クリスティアナ
「お前の祖父は本当の祖父ではないことがわかった」


ルーファスが切り出す。



「なにを言っているんですか!?爺さんは本当の爺さんだ!」



いったい何を言い出すのかと国王陛下であるルーファスを睨みつける。



「クリス様、国王陛下に失礼がないように」



クリスの隣に座ったリリアがたしなめる。



「クリス、これから話すことを聞いて欲しい」



ルーファスはクリスの睨みなど一笑にふして話し始めた。



「アルビーンと言う名前に聞き覚えはないか?」



「ない」



「そうだろうな、国王一家に悲劇が起こったのはお前が3歳の時だ お前の父はここから北の方角にあったアルビーンと言う国を統一していた とても小さな国だったが、貴重な鉱山を持っている国は裕福だった」



悲劇?父?アルビーン?何を言っているんだ?爺さんは王族だったのか?



「悲劇?」



クリスは聞いていた。



「鉱山を国王一家で視察中、盗賊に虐殺された 遺体は国王、王妃、そして2人の男の子 しかし、末(すえ)の王女の姿がなかった 盗賊の死体も数人あったようだが、こつ然と王女の姿がなくなっていたんだ」



「それが俺に関係ある話なのか?」



「その王女がお前だ」



「そんなわけがないっ!俺は山小屋で爺さんとずっと一緒だったんだ!」



「……では、働きもしない祖父がどうしてお前を養って行けたんだ?それは盗賊でアルビーンから財宝を盗んだからなんだ 時々、街へ降りては財宝をばらして売っていた」



「やめろ!」



クリスは耳を両手で塞いだ。



耳鳴りがして頭がガンガンと叩かれているように痛む。



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