クリスティアナ
「……キースは……キースは俺が夫を見つけて結婚すればいいと思っているのか？」



キースに笑顔を向けられれば嬉しいし、嫌な言葉をかけられれば悲しい気持ち
になる。彼の一言一言に胸が痛む。要はキースに惹かれているのだ。



しかし、恋のこの字も知らないクリスはキースに対する気持ちがなんなのか分からない。



「女が一人で生活するのは大変だ　お前を守る夫が出来ればいいんじゃないか」



ズキッ……。



無意識のうちに胸に手を置く。



「出て行ってくれ　まだ眠いんだ」



クリスは気だるげに身体を横たえた。



キースに背中を向けている。



俺の唇を奪ったくせに……。



§　§　§　§　§　§



それから数日後、クリスは城から消えるようにいなくなった。



朝、起こしに行くと寝台はもぬけの殻だった。



カミラから報告を受けたリリアは執務室へ急いだ。



ロイドが扉を開けると愛する妻が立っていてにこやかな顔になった。



「どうしましたか？」



血相を変えた妻を見てすぐに真顔になる。



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