クリスティアナ
「……クリス」


突然のキースの声にクリスはびくりと身体が揺れた。



ハッとした様に顔を上げて唇を噛む。



「空耳だ　空耳、今は爺さんの事を考えているのになんでキースの声が聞こえなくちゃならないんだ！」



キースは耳を押さえてかぶりを振るクリスに笑みを浮かべた。



そして可愛すぎると思っている自分を自覚する。



「クリス、俺だ　空耳なんかじゃない」



耳を塞いでいる手をそっと外して耳元で囁く。



「うわぁっ！」



クリスは驚きながら飛びのいた。



「なんでいるんだよ！？」



「お前が心配だからだろう？」



相変わらずおもしろい反応で笑いたいのを我慢して真剣な顔で言う。



「ふざけんな！」



睨みつける目は赤く、頬に涙の跡がついている。



クリスから視線を外すと、視界にキラキラ光る何かが入った。



とてつもない価値の宝石が箱に入っていた。


「すごい宝石だな……」


「爺さんが……」


クリスが手にしていた手紙らしき紙をキースに渡す。


受け取るとクリス宛の手紙を読んだ。


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