クリスティアナ
§ § § § § §



「またお怪我をなさって……」



腕の傷の治療をしながらガラムが渋い顔になる。



傷からと過労からの熱が少々高いが、数日休養すれば元気になるだろう。



そう、ガラムは言った。



「たいしたことなくて良かったわ」



心配そうに治療を見ていた沙羅がホッとしたように言う。



キースもガラムの言葉にホッと安堵した。



なぜならば、道中、腕の中のクリスはずっと眠っていたから。



このまま目を覚まさないのではないかと不安になったのだ。



軽いとはいえ、道中ずっとクリスの体重を支えていたキースの腕はまだしびれていた。



「キース、報告を聞こう」



ルーファスはそう言うと、部屋を出て行った。



「もう、ルーファスったらキースも疲れているのにね?少しは休ませてあげればいいのに」



沙羅が頬を膨らませる。



そんな姿は息子のロイと同じくらいに見える。



「仕方ないですよ 姫さん、じゃあ、行ってきます」



「はーい、クリスちゃんのことは任せてね」



沙羅はにっこりキースに微笑んだ。




< 178 / 210 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop