クリスティアナ
その夜、ルーファスたち一行が戻ってきた。



そのことをリリアから聞いたクリスだが頷いただけだった。



昼間と違って、落ち着いて表情を変えないクリスにリリアは不安になる。



結婚が嫌なの事は分かっている。



だけれど、この美貌、守られるべき存在なのだ。



あの方ならば、クリスティアナ様を守ってくださる。



「皆様、お集まりになっておりますが、クリスティアナ様はいかがなさいますか?」



「俺は、行かない もう寝ます」



行ってキースの顔を見たくない。



もう忘れた方がいいんだ。



俺には新しい人生が待っている。



……そう思っても、今すぐキースに会いたいし、忘れられるものではない。



キースにはどこぞの姫君という相手がいるんだ。



リリアが部屋を出て行くと、深いため息を何度も繰り返してしまうクリスだった。



< 191 / 210 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop