クリスティアナ
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帰り際、キースは「逃げるなよ 逃げても追いかけるからな」の言葉を残して帰って行った。



俺が逃げようとしていたことはバレバレだったようだ。



逃げても追いかけるって……どんだけ俺を結婚させたがっているんだよ。



俺を弄ぶキースが腹立たしくて、俺は逃げない事に決めた。



お前の希望通り、知らない奴と結婚してやる。



結婚の儀は明後日に迫っていた。



それにしてもキースの浮気性は一生治らないな。



あいつと結婚させられる姫は大変だ。



キースのことを悪く考えようとすればするほど、恋しくなる。



翌日はキースの姿を遠目からでも見ようと鍛錬所の近くまで行った。



キースは騎士たちを一列に並ばせて話をしていた。



横顔しか見えないけれど、りりしいカリスマ性あふれる姿だった。



クリスは踵を返すと、早歩きで部屋に戻った。



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