左手のエース
……バシッ!!










晶先輩がアタックを打つ。








晶先輩の視線や叩いた音、
そしてボールの軌道…






全てを見て聞いて感じながら

ボールを拾いあげる。










動きが読みにくいボールを
スライディングして拾いあげると


1・2年は歓声をあげた。












今日は夕方から雨。



雨が降ると、他の運動部も体育館を使いに来るから、

コートはいつもの半分以下の広さになる。







…だから練習が交代制になって、みんなから見られるのは仕方ないけど……





「あたしのプレーを見て騒がれたらやりにくいなぁ…。」




やっと自分の番が終わり、
コートを出ながら呟いた。




「人気者が調子のってる発言だな。」






あたしの独り言に対して
ヤジを飛ばして来たのは、
篠田大地(シノダダイチ)だ。


バスケ部の彼とは小学校からの腐れ縁。

今日はたまたまバスケ部とコートが隣合わせになったのだ。


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